アベル
パパだよ
MMは
MechamoteMasterの略
戦闘について50の質問
1.貴方のお名前を教えてください。
「アベルだよ。よろしくね」
2.職業についたことはありますか？ ある方は職歴を、ない方は自分の習得している戦闘技術(剣術、体術等)や呪文を教えてください。
「……ないってことにしておいてくれるかな。あっ、周りからは生まれつき魔物使いだと言われたよ。回復呪文は個人全回復まで、真空呪文は高位まで、まあ、それなりに使えるね」
3.得意な技や魔法はありますか？
「回復呪文は得意なのかなあ」
4.好きな技や魔法はありますか？
「回復呪文は、いつ使っても感動するね」
5.苦手な技や魔法はありますか？
「蘇生呪文の成功率が、低いんだよね……」
6.嫌いな技や魔法はありますか？
「石化の、かな。分かるよね？」
7.必殺技、あるいは「困ったらこれを使っとけ！」という技や魔法はありますか？
「そういうの、欲しかったなあ」
8.使える武器の種類を全て教えてください。
「杖、槍、剣」
9.よく使う武器防具の種類は決まってますか？ また、愛用している特定の武器防具がありましたら教えてください。
「最近はドラゴンの杖ばっかり使ってる。装備は王者のマントに王者の冠。父の剣も大事に使ってたけど、サンチョにあげちゃった。この前サンチョの部屋に行ったら、飾ってあったよ」
10.いつでも上記の武器防具を身につけていますか？
「いつでもじゃないな。戦闘がある時だけ」
11.初めて戦ったのはいつですか？
「サンタローズの港に着いた時」
12.稽古や修業はしていますか？ している方は、どういったことをしているのかなどその様子を詳しく教えてください。
「あんまりしてないなあ」
13.今までで一番楽しかった戦闘は何ですか？
「うーん？」
14.今までで一番辛かった戦闘は何ですか？
「魔物は殺したくないから、大体辛いよ」
15.忘れられない戦闘の記憶はありますか？
「……たくさんあるね」
16.戦いやすい場所、場面はありますか？
「味方がたくさんいる所」
17.戦いにくい場所、場面はありますか？
「人質を取られてる時」
18.どんな対戦相手との戦闘が得意ですか？ また、こんな相手(人魔物問わず。特定の方でも構いません)と戦ってみたいという希望はありますか？ それぞれ理由も合わせてお答えください。
「どんな相手でも練習試合が一番だね。ただ、生かしておけない奴は別だよ。とことん憎い相手なら、いっそ逆に戦いやすい」
19.どんな対戦相手との戦闘が苦手ですか？ また、戦いたくない相手(人魔物問わず。特定の方でも構いません)はいますか？ それぞれ理由も合わせてお答えください。
「好きな人や魔物とは戦いたくないよね。そうでしょ？」
20.好敵手はいますか？
「尊敬という意味では、父かな。一生かかっても越えられそうにない」
21.宿敵はいますか？
「いたよ」
22.一人での戦闘と複数人と連携しての戦闘はどちらが得意ですか？ それはどうしてか、理由も合わせてお聞かせください。
「複数人と連携した方が得意かな。人数が多ければ多いほど、やれることの幅が広がるだろ？」
23.一緒に戦いやすい人はいますか？ いなければ、共闘しやすいタイプをお答えください。
「ヘンリーだよね」
24.逆に一緒に戦いにくい人はいますか？ いなければ、共闘しにくいタイプをお答えください。
「あんまり大きい声で言えないけど、サンチョやビアンカがたまにね。二人は心配しすぎなんだよ」
25.戦闘中、貴方はどんな役割をこなすことが多いですか？
「指示を飛ばすことが多いよ。あとは攻撃回復、臨機応変に立ち回る」
26.戦闘中に作戦を立てることは得意ですか？ 不得意ですか？
「普通くらいじゃないかな」
27.貴方は前衛ですか？ 後衛ですか？
「前衛みたいだ」
28.近距離、中距離、遠距離戦ではどれが得意ですか？
「近距離戦だろうね」
29.ずばり、貴方の戦闘スタイルを一言で教えてください。
「使えるものは使いたいな」
30.貴方にとって望ましい戦闘のあり方・戦闘スタイルとはどういったものでしょうか？
「実りのあるものがいいよね」
31.貴方にとって許し難い戦闘のあり方・戦闘スタイルとはどういったものでしょうか？
「無益なもの。関係のないものを巻き込んだ戦いなんて、最低だと思うよ」
32.戦闘での貴方の強みは何だと思いますか？
「魔物の観察が得意なところ」
33.戦闘での貴方の弱みは何だと思いますか？
「うーん。魔物に弱いところだろうね」
34.戦闘においてこれだけは他人に負けない、または負けたくないことはありますか？
「負けられない相手には、絶対負けたくない」
35.戦闘で貴方が最も重視することは何ですか？
「実益だろうね」
36.攻撃力と体力・魔力の温存ではどちらを優先しますか？
「状況によるよ」
37.ぶっちゃけ、貴方は強いですか？
「僕自身は、そこまで強くないだろうね」
38.戦闘は好きですか、嫌いですか？
「好きでもないし、嫌いでもない」
39.どうして戦闘が好き、または嫌いなのでしょうか？ 理由をお答えください。
「戦闘は僕にとって、好き嫌いでやるものじゃないから」
40.(好きと答えた方へ)心底戦いたくないと思ったことはありますか？
(嫌いと答えた方へ)たまには戦いたいと思ったことはありますか？
それぞれについて教えてください。
「どっちもあるよねえ」
41.戦うことは得意ですか？ 不得意ですか？ またどうしてそのような意識があるのか、理由をお教えください。
「僕自身は戦うことが得意なわけじゃないんだと思う。得意だったなら、仲間に指示を出すことなんてしないだろうから」
42.戦闘に対して積極的ですか？ 消極的ですか？ 理由も合わせてお答えください。
「どっちでもないよ。実益のある戦いならば、積極的にもなるよね」
43.実は貴方のお仲間をここにお呼びしてあります。お仲間の皆様に質問です。戦闘中、この方はどのような感じでしょうか？
ビアンカ「いつだって先頭に立って、戦況を切り開いてくれるわ。そう、怖くなるほどにね」
レックス「お父さんの攻撃って、すごく重いんだよね。僕もそんな攻撃ができるようになりたいな」
タバサ「戦いの時のお父さんは、なんだかいつもと背中が違うの」
サンチョ「坊ちゃんの背中は、すっかりパパス様にそっくりになりました」
ヘンリー「優しいぜーって面してるくせに、案外容赦ねえんだよな。知ってたけど」
ピピン「正直、兵士長なんて目じゃないです」
ピエール「そりゃっ！とりゃっ！」
44.続けてお仲間の皆様に質問です。戦闘中のこの方は頼りになりますか？
ビアンカ「頼りになるからこそ、頼りたくないって思う時もあるのよね」
レックス「うん！僕もお父さんみたいな戦士になりたいな」
タバサ「はい」
サンチョ「もちろんですとも！」
ヘンリー「まあな」
ピピン「それはもう！鬼神のごとしで！」
ピエール「そりゃっ！とりゃっ！」
45.お仲間の皆様、ありがとうございました。では、今のコメントを聞いた感想をお聞かせください。
「ピエールは何で来たのかな？」
46.貴方にとって仲間とは何でしょうか？
「力であり、大切な重荷でもある」
47.貴方にとって戦闘とは何でしょうか？
「背負うもののために行うものだね」
48.戦うことに理由はありますか？ 有無どちらでも、その理由をお聞かせください。
「何かを得るために戦うんだから、理由がないわけがないさ」
49.最後の質問です。魔物や人を殺すことにつて、貴方はどう思いますか？
「いけないことだろうねぇ」
50.ご回答ありがとうございました。何か他に言い足りないことがありましたら、ここで仰ってください。
「特にないかな。お世話になりました」
記憶
アベルは視線を、隣に移す。妻がこちらを見上げていた。
「ありがとう、みんなを……あの子達を連れ戻してくれて。それから、ごめんなさい。何もできなくて」
そんなことはと言おうとして、胸板に置かれた手に遮られる。
「でも、もうあれはなるべく使わないで」
「……それは」
「分かってるわ、とてもとても大事な呪文だってことは。だけど私は、貴方が、父親が何度も死ぬところをあの子達に見せたくない。こんな戦いの場に連れてきておいて、矛盾してるけど。それに、あの呪文をあまり使いすぎたら、貴方はきっと」
また自分を、粗末にしてしまう。
アベルはビアンカの卵型の顔へ眼差しを注ぐ。そして言い聞かせるように、しかし優しく言う。
「そんなことしないよ」
「じゃあ、何ですぐにあの子達にもう使わないと答えてあげなかったの？」
「……僕は嬉しいんだよ。僕の命一つを使えば、みんなを助けられる」
「自分を道具みたいに言わないで。貴方は……私の愛する人で、あの子達の父親なんだから」
道具、か。
アベルは昔のことを思い出す。まだフローラとの婚約を結び付けて天空の盾を手に入れようと思っていた頃。ビアンカに再会して夜通し語って、自分の意思を伝えた時、彼女は柳眉をひそめてその言葉を口にした。
――貴方は自分のことを、道具みたいに思うようになってしまったのね。
一瞬、息が止まったような心地がした。彼女はアベルが、父の遺志に従うため無意識のうちに、自分のこともフローラのことも意思を持った個体ではなく、手段の一つと見ていたことに気付いたのだ。
とても、恐ろしいことだった。もしビアンカと再会せずあのまま彼女と結婚していたら、自分は。
「貴方がその呪文を使ったら、私達の魂は確かに戻って来るでしょうし、どんな重い傷も間違いなく治る。でも、私達のために貴方を死なせてしまったという事実は、決して消えないのよ」
彼女の両手が伸び、アベルの頬を挟む。
「ねえ、私達に貴方を殺させないで。もう、使わないで」
視線が交錯する。そして不思議なことに、彼は何故か父のことを思い出した。
地位も名声も捨てた父。赤子の自分を世話しながら、世界を巡った父。あまり自分を構ってくれず、寂しい思いをしたこともあった。でも今思えば忙しく厳しい旅の中でもよく面倒を見てくれていたと思うし、大切なところは言葉だけでなくその背中で、ちゃんと教えてくれた。気高くも気さくで、豪傑な父。そして最期に……嬲り殺された、もう会えない自分の英雄。
昔はどうして、どうして、と思うことが何度もあった。でも、今なら分かる。
大事な人を守るため、ならば。
「……うん、もうしないよ」
アベルはそう言ってエルヘブンで紡がれたような金髪を引き寄せ、微笑んだ。