ナイン
僕は敏感です
性感帯の話ではないです
五感プラス第六感的な意味です
戦闘について50の質問
1.貴方のお名前を教えてください。
「ナイン・キュロスと申します」
2.職業についたことはありますか？ ある方は職歴を、ない方は自分の習得している戦闘技術(剣術、体術等)や呪文を教えてください。
「旅芸人から始めまして、魔法職を中心に極めています。パラディン、賢者、レンジャーに就くことが多いです。現在他の職業にも挑戦していますが、やはり極めた三つの上級職のスキルは重宝しております。他にも剣術、弓術、鞭術、棒術を嗜んでいます」
3.得意な技や魔法はありますか？
「応援と魔法全般は得意です」
4.好きな技や魔法はありますか？
「趣旨から外れるかもしれませんが、分析と察知をするのが好きです」
5.苦手な技や魔法はありますか？
「実はボケなどの一発ギャグが苦手です。旅芸人ではあったのですが、未だに人の笑いどころが掴みづらくて」
6.嫌いな技や魔法はありますか？
「五感を激しく刺激する技は使用したくありませんし、受けたくもありません。臭いが強いものは、特に鼻が利かなくなって困ります」
7.必殺技、あるいは「困ったらこれを使っとけ！」という技や魔法はありますか？
「まずは相手を分析。それから攻撃力増強、守備力増強呪文などで味方の生存率を上げます」
8.使える武器の種類を全て教えてください。
「剣、弓、鞭、加えて槍などの棒状のものを使えます」
9.よく使う武器防具の種類は決まってますか？ また、愛用している特定の武器防具がありましたら教えてください。
「近・中距離なら剣か鞭、遠距離なら弓を使用します。常に銀河の剣、グリンガムの鞭、セラフィムの弓は携帯しております。装備品は大抵トーガです」
10.いつでも上記の武器防具を身につけていますか？
「武器は常に携帯しています。トーガも軽いですから、戦う予定がある時はよく着ます」
11.初めて戦ったのはいつですか？
「人間の感覚で言うなら、八歳の時でしょう。修業の一環でした」
12.稽古や修業はしていますか？ している方は、どういったことをしているのかなどその様子を詳しく教えてください。
「見習い時代は特に、師匠のご指導の下修業に明け暮れました。精神修業がメインでしたが、勿論剣や呪文も教わりました。ですが、地上に落ちた時はなかなかその感覚が思い出せなくて苦労しました。今は仲間の皆さんに手合せして頂いたり、魔導書による学習、武器の素振りや基本動作の確認、職業訓練を特に何の支障もなく行えるようになりました」
13.今までで一番楽しかった戦闘は何ですか？
「メタルスライム系との戦闘は、楽しかったと言えるかもしれません。良い修練になりました」
14.今までで一番辛かった戦闘は何ですか？
「務めですから、辛いと感じたことはありません」
15.忘れられない戦闘の記憶はありますか？
「ガナサダイ王、エルギオス様と刃を交えたことは忘れません」
16.戦いやすい場所、場面はありますか？
「敵の五感より僕の五感が勝っている時は戦いやすいです。たとえば夜間ですとか、視界が不明瞭な時などは僕の出番です」
17.戦いにくい場所、場面はありますか？
「異様に五感を刺激する場所は戦いにくいです」
18.どんな対戦相手との戦闘が得意ですか？ また、こんな相手(人魔物問わず。特定の方でも構いません)と戦ってみたいという希望はありますか？ それぞれ理由も合わせてお答えください。
「鈍い敵、戦況の認識が甘い敵は戦いやすいのではないかと」
19.どんな対戦相手との戦闘が苦手ですか？ また、戦いたくない相手(人魔物問わず。特定の方でも構いません)はいますか？ それぞれ理由も合わせてお答えください。
「知能が高く、回復と蘇生の技を操る敵は厄介です。これは僕だけでなく、一般的に皆そうなのではないでしょうか。それから感情が高ぶっている相手も、読みづらくなるので苦手です」
20.好敵手はいますか？
「過去の自分です」
21.宿敵はいますか？
「いません」
22.一人での戦闘と複数人と連携しての戦闘はどちらが得意ですか？ それはどうしてか、理由も合わせてお聞かせください。
「どちらかに不得意の意識があるわけではありませんが、僕は補助の方が得意ですので連携の方が良いようです」
23.一緒に戦いやすい人はいますか？ いなければ、共闘しやすいタイプをお答えください。
「ノインです。その次に、パーティーの皆さんです」
24.逆に一緒に戦いにくい人はいますか？ いなければ、共闘しにくいタイプをお答えください。
「いません。ですが、あまりにノインが怪我をしにいくようだと戦いの合間に諌めることがあります。しかし、彼女が一番のパートナーであることに変わりはありません」
25.戦闘中、貴方はどんな役割をこなすことが多いですか？
「補助回復役です。手が空けば攻撃もします」
26.戦闘中に作戦を立てることは得意ですか？ 不得意ですか？
「それなりにといったところでしょうか。まだまだ未熟ですので、仲間の方に助けて頂くところも多いです」
27.貴方は前衛ですか？ 後衛ですか？
「後衛です」
28.近距離、中距離、遠距離戦ではどれが得意ですか？
「中遠距離からの支援が得意です。その次が近距離での攻撃です」
29.ずばり、貴方の戦闘スタイルを一言で教えてください。
「僕にできることをやれるだけやる、です」
30.貴方にとって望ましい戦闘のあり方・戦闘スタイルとはどういったものでしょうか？
「戦闘のあるなしに関わらず、目的を達成するために最善を尽くすことでしょう」
31.貴方にとって許し難い戦闘のあり方・戦闘スタイルとはどういったものでしょうか？
「許しがたいと思うことはありません。何だろうとは思いますが」
32.戦闘での貴方の強みは何だと思いますか？
「五感を研ぎ澄まし敵の存在や攻撃を事前に察知できること、対魔物限定でこれまでに知った魔物の知識から素早い攻略法の提案ができること、以上二点です」
33.戦闘での貴方の弱みは何だと思いますか？
「一度強く関心を惹かれることを発見すると、戦っていることすら一瞬忘れてしまうことです」
34.戦闘においてこれだけは他人に負けない、または負けたくないことはありますか？
「他人に負けるか否かは問題ではないと考えています」
35.戦闘で貴方が最も重視することは何ですか？
「目的を達成することです」
36.攻撃力と体力・魔力の温存ではどちらを優先しますか？
「目的を達成するために必要な方を、その時々で優先します」
37.ぶっちゃけ、貴方は強いですか？
「まだまだ未熟です」
38.戦闘は好きですか、嫌いですか？
「嫌悪感はありません」
39.どうして戦闘が好き、または嫌いなのでしょうか？ 理由をお答えください。
「思いもよらぬ法則を、時折発見できるからでしょうか」
40.(好きと答えた方へ)心底戦いたくないと思ったことはありますか？
「ありません」
41.戦うことは得意ですか？ 不得意ですか？ またどうしてそのような意識があるのか、理由をお教えください。
「僭越ながら得意だと考えています。何故なら、苦手意識がないからです」
42.戦闘に対して積極的ですか？ 消極的ですか？ 理由も合わせてお答えください。
「どちらでもありません。必要ならば戦いましょう。そうでなければ、武器は取りません」
43.実は貴方のお仲間をここにお呼びしてあります。お仲間の皆様に質問です。戦闘中、この方はどのような感じでしょうか？
ソアラ「いつもと一緒で可愛いわ」
ニール「ポーカーフェイスな印象があります」
イレーネ「敵の生態に興味を持つと、子供みたいに実験しに行っちゃうよね」
44.続けてお仲間の皆様に質問です。戦闘中のこの方は頼りになりますか？
ソアラ「ええ、とても」
ニール「彼の分析と指示があると随分戦いやすくなります」
イレーネ「うん、それから呪文も応援も助かる」
45.お仲間の皆様、ありがとうございました。では、今のコメントを聞いた感想をお聞かせください。
「ありがとうございます」
46.貴方にとって仲間とは何でしょうか？
「一般で認識されている通りの意味で解釈しております。……そうではないのですか？」
47.貴方にとって戦闘とは何でしょうか？
「文字通りです」
48.戦うことに理由はありますか？ 有無どちらでも、その理由をお聞かせください。
「あります。理由がなければ戦いません」
49.最後の質問です。魔物や人を殺すことについて、貴方はどう思いますか？
「死は全ての生きとし生ける者に等しく定められたものです」
50.ご回答ありがとうございました。何か他に言い足りないことがありましたら、ここで仰ってください。
「ありません」
記憶
考えてごらんなさい、偉大なる生みの神グランゼニス様ですら失墜してしまったでしょう？ その結果、どうなったか――そう呟きながら、ラフェットは意味深に唇で弧を描いた。
「女神セレシア様は人間の善の心を示すため、世界樹になられたのだそうね。私はこれまで天使界が生まれてから付けられてきた記録を全て読んだ。けれど、女神様の御心は全く理解できないわ。私も人間を愛しく思うけど……人間の善なる心を信じ、彼らを身を挺してまで守り生かしたいとは思えない。世界も、守りたいとは思えない」
ラフェットは瞳を上げ、闇を抱きかかえるかのように両腕を広げた。その手にあるランタンが、光が揺れて暗闇に残像を残す。
「これだけ先の天使が研究し考えてきても、人間を善にする方法は見つからなかった上に、災悪を根絶やしにすることもかなわなかった。それをどうにかする手段があるとしたら、それは全てをリセットすることくらいしかない」
少年はまるで動くことを忘れてしまったかのように、じっと立ち尽くしている。黒に近い濃灰の瞳は書記長を凝視しているようにも、全く見ていないようにも見える。
ラフェットは音もなく少年天使に近づき、囁いた。
「それなら、いいじゃない。エルギオス様を倒さなくても。そうしたところで、何も救われはしない。ずっとずっと、欠けたままよ」
すると彼女の長舌が始まってから初めて、天使が動いた。あどけない顔が、ラフェットを見上げる。
「貴方は、本当に人間のことも師匠のことも大師匠のことも、愛してらしたのですね」
ラフェットは息を飲んで後ずさった。長く伸ばした赤毛の先が、ランタンの火に触れる。焦げた匂いが、死んだ木の香りで満ちた空間を静かに揺らす。
「確かにラフェット様の仰る通り、この世は欠けております。欠けたものが欠けたものを追いかけて、無い物ねだりであらぬ方を見つめ寄り集まって暮らしています。観念論ですらそうです。善は悪に堕ちやすく、悪は善を求めて侵略する。でも、仮に全きものが生まれたとして――その時、全ては滅びましょう」
少年の話しぶりは、野の草花を撫でる風に似た大天使のものとも、踏みつけられても揺るがない大地に似た上級天使のものとも違う。淀みなく流れ雨にも氷にも自在に姿を変える、水のようだった。
「ラフェット様。僕は、楽園とは常世ではないと考えています。絶対善の世界でも絶対悪の世界でもなく、栄枯盛衰移ろうこの世こそ楽園かと」
「なぜ……？」
「完全の一でしたら他を求める必要がなくなり、世界などなくなるからです」
ラフェットの目が大きく、瞼が裂けんばかりに開かれる。
「全て同じ音が鳴るように弦を調節された弦楽器より、違う音が鳴るよう仕組まれた弦楽器の方が、僕は好みです。全て同一の世界もそれはそれでいいところはあるのでしょうが、僕達が知ることはないでしょう。その世界では、僕達は生きられませんから」
少年天使は、にっこりと満面の笑みを浮かべる。