ビルド




作れ

造れ

創れ





戦闘について50の質問




「おれはモノづくりしかしねーからな」





記憶




 その男は、およそ英雄には程遠い人間だった。
「間の抜けた顔」
「覇気のない顔」
「死んだような顔」
 彼の外見のおおよその評価はそのようなもので、事実本業のモノづくり以外で滅多に笑うことがなかった。
 大事な話の途中で居眠りをし、目上の者にも歯に衣着せぬ物言いをし、嫌なことは引き受けたがらないという、言動の難もある。
 そんな彼を讃えた者が二人だけいた。
 一人は太古のアレフガルドの姫君で、彼の顔をしげしげと眺めて凛々しいと称した。
 もう一人はこの闇に閉ざされた地で、唯一光の権能を持つ王だった。
「恐ろしい顔だ」
 竜の王はそう呟いた。
「調和を失い、世界を滅ぼす元となる、人間のモノづくりの力の恐ろしさを表した顔だ」
 男は、これまで作り上げた道具と共に竜王の前に立っていた。
 腰にはオリハルコンを鍛えた名剣。
 背中には何でも砕く槌。
 横には凶悪なドリルのついた装甲車。
「そうさ。おれはものぐさで弱いから、弱い奴でも強い奴を倒せる道具を──兵器を作った。これが人間一番の凶器『凡庸な幸福への欲望』だな」
 男は肩を竦める。
「おれはあんたを倒す勇者が生まれる時代を作るために、一時の命を得たらしい。だが、兵器開発をして喜ばれる時代で余生を過ごすなんてまっぴらだ」
 悪いけど、死出の旅路に付き合ってくれや。
 そう言って、笑った。