エイト




姫様の付き人Lv.99

盗賊からは兄貴と慕われ

同僚からはオカンと呼ばれる





戦闘について50の質問




1.貴方のお名前を教えてください。
「エトヴァルト・ハイン・ギルベルトです。よろしくお願いします」

2.職業についたことはありますか? ある方は職歴を、ない方は自分の習得している戦闘技術(剣術、体術等)や呪文を教えてください。
「僕が最初についたのは、トロデーン城の小間使いでした。その後近衛隊員になって、今は隊長をやらせてもらってます。……え、敬語じゃなくて普通に話してほしい? うん、分かった」

3.得意な技や魔法はありますか?
「炎や光属性の技や魔法が得意だよ」

4.好きな技や魔法はありますか?
「ベホマズンかな。一度に全員を回復できて助かるから好きなんだ」

5.苦手な技や魔法はありますか?
「そうだなあ。特技よりは呪文の方が苦手かも。最近は少しマシになったけど、昔は攻撃呪文の効きが悪かったから」

6.嫌いな技や魔法はありますか?
「ないよ」

7.必殺技、あるいは「困ったらこれを使っとけ!」という技や魔法はありますか?
「うーん。俺が困る時はパーティーが困る時だから……そういう時に使うのは、ベホマズンかな?」

8.使える武器の種類を全て教えてください。
「剣と槍とブーメランを使えるよ」

9.よく使う武器防具の種類は決まってますか? また、愛用している特定の武器防具がありましたら教えてください。
「武器も防具も、竜神シリーズをよく使ってる。槍ならその時持ってる中で一番威力の高いものを使うね」

10.いつでも上記の武器防具を身につけていますか?
「うん、そうだよ」

11.初めて戦ったのはいつですか?
「城で兵士として訓練した時だね。俺は十一歳くらいだったかな」

12.稽古や修業はしていますか? している方は、どういったことをしているのかなどその様子を詳しく教えてください。
「自分の世界にいる時は、城の兵士たちと訓練したり、旅の仲間と竜神王タイムアタックをしたりしてるよ」

13.今までで一番楽しかった戦闘は何ですか?
「竜神王タイムアタックは気楽でいいよ。竜神王様がやられることはないし、」

14.今までで一番辛かった戦闘は何ですか?
「戦闘そのものより、戦闘に勝っても報われなかった時が一番辛いかな」

15.忘れられない戦闘の記憶はありますか?
「サザンビークのアルゴングレートとの戦いは忘れられないよ。あの戦いが後々予想外の方向に繋がっていって、本当にびっくりした」

16.戦いやすい場所、場面はありますか?
「巻き込んじゃいけない一般人が少ない場所や時間帯は戦いやすいね」

17.戦いにくい場所、場面はありますか?
「戦いに巻き込めない人を遠くに避難させられない状況は、ちょっと緊張するかな。でも、守れるように頑張るよ」

18.どんな対戦相手との戦闘が得意ですか? また、こんな相手(人魔物問わず。特定の方でも構いません)と戦ってみたいという希望はありますか? それぞれ理由も合わせてお答えください。
「炎、光属性の攻撃が弱点の敵とは戦いやすいよ。戦ってみたい相手はいないなあ」

19.どんな対戦相手との戦闘が苦手ですか? また、戦いたくない相手(人魔物問わず。特定の方でも構いません)はいますか? それぞれ理由も合わせてお答えください。
「竜族の相手が一番苦戦する。特に竜神王。仲間がいればいいけどね。戦いたくない相手は親しい人かな。そういう状況が来ないことを祈ってるよ」

20.好敵手はいますか?
「いない、かも?」

21.宿敵はいますか?
「倒せたから今はいないよ。……え、王子? 今は何とも思ってないよ」

22.一人での戦闘と複数人と連携しての戦闘はどちらが得意ですか? それはどうしてか、理由も合わせてお聞かせください。
「複数人がいいね。人数がいた方がやれることが増える」

23.一緒に戦いやすい人はいますか? いなければ、共闘しやすいタイプをお答えください。
「パーティーを組んでた三人は、皆一緒に戦いやすいよ。いい人たちに会えてよかった」

24.逆に一緒に戦いにくい人はいますか? いなければ、共闘しにくいタイプをお答えください。
「俺の大切なものを蔑ろにする人」

25.戦闘中、貴方はどんな役割をこなすことが多いですか?
「攻撃か回復のどっちかのことが多いよ」

26.戦闘中に作戦を立てることは得意ですか? 不得意ですか?
「目的次第かな」

27.貴方は前衛ですか? 後衛ですか?
「戦闘スタイル的にも職業的にも前衛だね」

28.近距離、中距離、遠距離戦ではどれが得意ですか?
「近距離かな。その次に遠距離」

29.ずばり、貴方の戦闘スタイルを一言で教えてください。
「一言で? そういうのはないかなあ」

30.貴方にとって望ましい戦闘のあり方・戦闘スタイルとはどういったものでしょうか?
「目的を達成するために必要な結果を出せるといいよね。勝ち負けは二の次だよ」

31.貴方にとって許し難い戦闘のあり方・戦闘スタイルとはどういったものでしょうか?
「望ましい戦いができなかった時かな。うまくいかないと自分が嫌になるよ」

32.戦闘での貴方の強みは何だと思いますか?
「火力の強さと魔力の節約ができることだと思う」

33.戦闘での貴方の弱みは何だと思いますか?
「うーん。内緒にさせてくれる?」

34.戦闘においてこれだけは他人に負けない、または負けたくないことはありますか?
「俺個人が他人に負けるとか負けないとか、そういうのは気にしてないよ。トロデーンが関わってきたら別だけどね」

35.戦闘で貴方が最も重視することは何ですか?
「俺の大切なものを守るために必要な結果を出すこと」

36.攻撃力と体力・魔力の温存ではどちらを優先しますか?
「攻撃力だね」

37.ぶっちゃけ、貴方は強いですか?
「強くありたいよ」

38.戦闘は好きですか、嫌いですか?
「どっちでもないな」

39.どうして戦闘が好き、または嫌いなのでしょうか? 理由をお答えください。
「仕事だからね」

40.(好きと答えた方へ)心底戦いたくないと思ったことはありますか?
(嫌いと答えた方へ)たまには戦いたいと思ったことはありますか?
  それぞれについて教えてください。
「俺の意思より、どう行動するのがいいかを考える方が大事だと思ってる」

41.戦うことは得意ですか? 不得意ですか? またどうしてそのような意識があるのか、理由をお教えください。
「戦うことが俺の役割の一部だから、得意であるようにしてるよ」

42.戦闘に対して積極的ですか? 消極的ですか? 理由も合わせてお答えください。
「さっきの好き嫌いと同じで、どっちでもない。必要ならば戦うよ」

43.実は貴方のお仲間をここにお呼びしてあります。お仲間の皆様に質問です。戦闘中、この方はどのような感じでしょうか?
ヤンガス「ずばり、漢でがす! 敵をバッタバッタと薙ぎ倒すお姿がシビれるでげすよ」
ゼシカ「攻撃も回復もばっちりよ」
ククール「優等生ですよ、うちのエイト君は。レディの目をさらってくれて癪なくらいさ」

44.続けてお仲間の皆様に質問です。戦闘中のこの方は頼りになりますか?
ヤンガス「アッシも頼ってもらえる子分として頑張るでがす!」
ゼシカ「ええ、頼りにしてるわ!」
ククール「ま、そこそこかな?」

45.お仲間の皆様、ありがとうございました。では、今のコメントを聞いた感想をお聞かせください。
「喜んでいいのかな。ありがとう、みんな」

46.貴方にとって仲間とは何でしょうか?
「苦楽を共にしてくれる人たちだよ」

47.貴方にとって戦闘とは何でしょうか?
「仕事の一部だね」

48.戦うことに理由はありますか? 有無どちらでも、その理由をお聞かせください。
「戦いは手段の一つだから、戦う理由は必ずあるよ」

49.最後の質問です。魔物や人を殺すことにつて、貴方はどう思いますか?
「俺には分からないよ。強いて言うならば、大切なものを生かすために殺すんだと思う。この話はまったく考えないのもいけないし、考えすぎてもうまくいかないんだ」

50.ご回答ありがとうございました。何か他に言い足りないことがありましたら、ここで仰ってください。
「どういたしまして。お疲れ様でした」






記憶




 あの頃は私と同じくらいの背だったエイトは、もうずっと前に私より頭一つ高いくらいになってしまいました。声も低くなって、体つきもしっかりとして逞しい。
 けれどあの約束のことを口にすると、あの時と同じように眉を下げた笑顔を見せてくれました。エイトは変わっていない。それを確認して、私は嬉しくなります。
「勿論です。ですが、僕だけだろうと思っていたので……」
「まあ、そんなひどい」
 申し訳ありませんと言うエイトは、何故か微笑んでいます。
 エイトは変わってない。それは嬉しい。でも、言わなくちゃ。そのためにこうして人間に戻れる久しぶりの貴重な時間に、お父様に席を外していただいて、みんなにも離れてもらってるんだから。
「ありがとう、エイト。私とお父様の呪いを解くため、大変な旅を続けてくれて」
 エイトは眉を上げました。私は勇気を出してその顔を覗き込み、ずっと考えていた言葉を続けます。
「大丈夫ですか? 疲れ果てていませんか? もしそうなら、もう旅をやめてもいいのよ。お父様がひとり言のように、このミーティアに話しかけました。エイトにはエイトの人生がある。いつまでも、わしらにつき合わせるわけにはいかないのお……って」
 身体から泉の力が抜けていくのを感じます。私は急いで、一番言わなければならないことを唇に乗せました。
「ねえエイト。貴方は自分の道を行ってもいいのよ」
 最後の音が唇を離れた時、私はまた馬の姿に戻っていました。もう、次はいつエイトと話せるか分からない。悲しくて、下品でない程度に軽くヒンと鳴きました。
 エイト、もっと言いたいことがあったのに言えなかったわ。私、エイトに申し訳ないと思ってるの。最初は私の遊び相手として、次は私の近衛兵として、お城にずっと縛りつけられてたでしょう? エイト、本当は他に行きたい所があるんじゃない?
 いいのよ、好きな所に行って。私の我が儘でずっと縛り付けてきてしまったけど、私、こうしてお馬さんになって外に出て、やっと分かったの。世界は広いわ。エイトが生きる場所も、トロデーン以外に絶対あるはず。
 ごめんなさい、そんなことにも気づかなかった幼い私で。
 ありがとう、そんな私に付き合ってくれて。
 エイトの表情は、心なしか硬いように感じられます。そんな顔しないで、と言いたい。馬になると言いたいことが嵐のように噴き出してきて、頭が破裂しそうになります。だけど、喋ることはできない。こんな時ほど、私は呪われた身を苦しく思うのです。
 じっとこちらを見つめる黒い双眸に映り込んだ光が、燃え立つように揺らめきました。
「僕は、誰かに生き方を強いられたことはありません」
 静かに優しく、しかし確固とした口調で、エイトは頭を垂れます。
「貴方が僕をいらないと仰るその時まで、お傍にいさせてください」
 いらないなんて、どうしてそんなことを言うの。
 問いかけたくとも、私は馬。せめて精一杯の「そばにいて」を込めて、頷くことしかできないのです。
 エイトは風のない夜より、ずっと穏やかな人。けれど時々その黒い瞳に、篝火よりも遥かに激しい炎が宿ることを私は知っている。
 それがどうしてなのか、ミーティアには分からないのです。